誰もが自分らしく輝ける職場へ:セクハラ・パワハラを防ぐ「気づき」と「行動」
近年、日本の職場におけるハラスメント対策は法改正とともに厳格化の一途をたどっています。従来のパワーハラスメント(パワハラ)やセクシュアルハラスメント(セクハラ)の防止措置義務化に加え、2026年10月からはカスタマーハラスメント(カスハラ)対策や求職者を守る就活セクハラ対策も全企業に義務付けられます 。
ハラスメントは、働く人の尊厳を傷つけ、心身の健康を脅かすだけでなく、職場の生産性低下や企業の社会的信用失墜に直結する重大な問題です 。誰もが安心して働ける職場をつくるために、私たちは何を意識し、どう行動すべきでしょうか。
セクシュアルハラスメント(セクハラ)
~「良かれと思って」や「親しみ」に潜む落とし穴~
セクハラとは、職場における性的な言動に対し、労働者の対応によって不利益を与えたり、性的な言動により就業環境が害されたりすることです 。
・無自覚なリスクに注意:直接的な身体接触や執拗な誘いだけでなく、「女性(男性)のくせに」「まだ結婚しないの?」といった性別役割分担意識に基づく発言や、プライベートな話題への過度な介入もセクハラに該当する可能性があります。
・「悪気がない」は言い訳にならない:コミュニケーションを和ませるつもり、あるいは褒めたつもりであっても、受け手が不快感や脅威を抱けばハラスメントになり得ます 。相手との関係性や客観的な視点を持つことが重要です。
パワーハラスメント(パワハラ)
~「指導」と「ハラスメント」の境界線~
パワハラは、(1)優越的な関係を背景とした言動であり、(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたもので、(3)労働者の就業環境が害されるもの、の3つの要素をすべて満たすものを指します 。厚生労働省はこれを以下の「6つの類型」に分類しています。
1. 身体的な攻撃:殴る、蹴る、物を投げつける
2. 精神的な攻撃:同僚の前で大声で怒鳴る、人格を否定するような暴言を吐く
3. 人間関係からの切り離し:特定の社員を無視する、別室に隔離する
4. 過大な要求:到底達成できない不可能な業務を強制する
5. 過小な要求:能力や経験とかけ離れた、誰でもできる雑務だけを命じる
6. 個の侵害:プライベートな事柄に過度に立ち入り、監視する
• 正しい指導との違い:業務上のミスを指摘し、改善を促すことは正当な指導です。しかし、「人格」を否定したり、執拗に責め立てたりすることは業務上の必要性を超えたパワハラとなります 。
職場からハラスメントをなくすための3つの行動
(1) 自分の価値観をアップデートする
「自分の若い頃はこれくらい普通だった」「この程度の冗談で目くじらを立てるな」という過去の基準は通用しません 。多様な価値観を持つ人々が共に働いているという前提に立ち、一人ひとりの尊厳を尊重する意識が不可欠です。
(2) 「傍観者」にならない
職場でハラスメントらしき言動を見かけたとき、「自分には関係ない」「トラブルに巻き込まれたくない」と黙認することは、結果としてその行為を容認することにつながります 。「大丈夫?」と声をかける、職場の相談窓口や人事に報告するなど、周囲のサポートが孤立を防ぎます。
(3) 相談窓口を正しく知る・活用する
企業にはハラスメントの相談窓口を設置し、適切に機能させることが義務付けられています 。もし自身が被害に遭ったり、周囲で問題が起きたりした場合は、いつ・どこで・誰に・何をされたかの客観的な記録(日記、メール、録音など)を残し、社内の相談窓口や、厚生労働省のポータルサイト あかるい職場応援団 が紹介する公的な外部窓口に相談してください。
あかるい職場応援団ホームページ
(外部リンク)
ハラスメントのない職場は、一人の意識改革だけで実現できるものではありません。一人ひとりが「互いを尊重し合う」という当たり前の姿勢を徹底し、声を掛け合える風通しの良い組織風土を育てていくことが、何よりの予防策となります。誰もが安心して能力を発揮できる、健全な職場環境を全員の手で築いていきましょう。