
筑紫平野を一望する浮羽町山北にある「道の駅うきは」の北西には、斜面を活用した「野外円形劇場」があります。この劇場は、大正14(1925)年、当時の山春村の河北俊義村長と山春小学校山口正治校長の発案により、「山春農村研究会」を中心に建設されたもので、山口校長と、日本で初めての農民劇団「嫩葉会(わかばかい)」の指揮の下、青年会在郷軍人会会員等の協力で、10月16日に完成しました。斜面を観客席、底地を舞台として設計され、ギリシャ式劇場を模したと言われる日本でも珍しい施設です。平成27(2015)年には発掘調査が行われ、復元されたこの円形劇場は、当時の若者と指導者である村医師・安元知之氏が築き上げた文化の灯を現代に伝える貴重な存在となっています。

安元氏は貧しい農村の若者たちから「農業以外の楽しみが酒や賭博しかない。他に何かないだろうか」という相談を受け、文化の灯をともすべく「嫩葉会」を結成。安元氏は若者たちに西洋式演劇である「新劇」を教え、村外へ講演を行うまで育て上げました。同時に、村おこしにつながるイベントを多数企画し、農業と文化を両立させる活動を展開しました。しかし、大正15(1926)年には安元氏が病に倒れ、昭和3(1928)年に嫩葉会は解散。その後、野外円形劇場は長い年月の間に土に埋もれてしまいましたが、平成29(2017)年に復元整備され、現在では多くの人々が訪れる「道の駅うきは」において、うきはの歴史を伝える貴重な観光スポットとして注目を集めています。また、地域イベントの開催地として活用され、文化活動を通じた賑わいを取り戻しつつあります。
令和7(2025)年、野外円形劇場は建設から100周年を迎えます!
これを記念し、11月8日(土曜日)・9日(日曜日)に開催される「うきは祭り」で、文化財保護係によるブース出展を行い、劇場の歴史やその魅力について紹介します。さらに、11月8日(土曜日)13時55分~14時15分(予定)に、うきは市民劇ワークショップ「わくわく演劇教室」による野外円形劇場をテーマとした特別劇を上演します。
そして、令和7年11月23日(木・祝)には、野外円形劇場で「うきは楽しいことプロジェクト」による100周年記念事業を開催します。嫩葉会の精神を紡ぎながら、円形劇場が再び人々の笑顔と活気で満たされる瞬間を、ぜひその目でお楽しみください!
「うきは祭り」でのイベント(令和7年11月8日(土曜日)・9日(日曜日))
・ 文化財保護係によるブース出展。劇場の歴史や魅力を紹介。
・ うきは市民劇ワークショップ「わくわく演劇教室」による、野外円形劇場をテーマとした特別劇の上演(11月8日(土曜日)13時55分~14時15分予定)
「うきは楽しいことプロジェクト」による100周年記念事業(令和7年11月23日(木・祝))
・ 野外円形劇場で記念事業開催。
この特別な節目に、歴史文化の息吹が感じられる円形劇場へお越しいただき、地域の魅力を再発見してみませんか?皆さまのご参加を心よりお待ちしております。
※雨天の場合は、会場がうきは市民センター3階ホールに変更になります。(会場を変更する場合は、市HP等でお知らせいたします)