うきは市吉井町で飲食店を営む土谷さん。
昨年2月にがんの宣告を受け、生死について考える中で、誰かの役に立ちたいと思い、能登半島地震の被災地での炊き出しボランティアに参加されました。
お話をうかがう中で、土谷さんの行動力や被災地の方に寄り添う温かい人柄が見えてきました。
ボランティアに行こうと思ったきっかけは何ですか?
昨年2月にがんの宣告を受け、誰かの役に立ちたいと思っていました。そんな時に能登半島地震が起き、炊き出しボランティアに参加するため、軽自動車に食材と調理器具をできるだけ詰め込み、石川県に向かいました。
実際に行ってみてどのようなことを感じましたか?
テレビで見ていた映像と実際に見る光景は全くの別物で衝撃を受けました。手つかずの場所がたくさんあり、復興はまだまだ遠いものだと感じました。そんな中でも現地の方々が寄り添い合い、助け合いながら生活している光景がとても印象に残っています。
現地では具体的にどのような活動をしましたか?
飲食店を経営していることもあり、現地の方に温かい食事を届けたいと思い、炊き出しを行いました。炊き出しの活動拠点には、スーパーがありませんでしたが、「現地の方に美味しいものを食べてほしい」「年配の方も食べやすいようなるべく柔らかい食材を選びたい」という思いで、約100kmを往復して買い出しに行き、炊き出しを行いました。被災された方々から「いつも冷たい弁当ばかり食べているので温かい食事が嬉しい」と何度もお礼をいただきました。今振り返ると、不思議と疲労感は感じず、自分でもどこにそんな体力があったのか信じられません。
ただ、滞在中は車中泊の生活で、後部座席に調理器具などの荷物があり座席を倒せず、食材があるので暖房もつけられず辛かったですね。また、車を停めていた駐車場は利用者が自分だけだったので、夜の寒い中、周りに人もおらず孤独を感じていました。
ボランティアを経験して、どんなことを伝えたいですか?
できる範囲でいい、短期間でもいいから、ひとりでも多くの人がボランティア活動に参加してくれたらと思っています。炊き出しを行っても、様々な事情で炊き出し会場に来られない方もたくさんいらっしゃいます。ひとりひとりに食事を届けるにはやっぱり人手が必要です。自分自身もしまた必要な時があれば、自分の体調と相談しながら、ボランティアを続けていきたいと思っています。