地方議会における女性議員の割合については、ニュースなどでたびたび目にされることもあるかもしれません。福岡県の場合、2021年時点で638人中102人。わずか16%です。うきは市議会の場合、議員14名中女性議員は1名。2022年から初めて議員となった高木あきこさん(実は…元センター所長です)に、お話をうかがいました。
市議会へチャレンジしようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
積み残している課題をどうにかしなければ…という思いでしょうか。自身のホームページでもお伝えしているのですが、折に触れ、女性として、そして子どもを育てる親として、「課題を積み残してきてしまったな…」という思いがありました。その時々、一生懸命働きつつ、そして子育てしつつも、「市民の暮らしの中から出てくる色々な疑問や課題って、市政へ届いているのかな?私たちの日常に、要望や政策って反映されているのかな?」と疑問を感じていました。でも、こうした日常の中で気付いた違和感って、日々の忙しさに追われてしまうと流されてしまうというか・・・課題はそのままになってしまい、申し訳なさを感じながらも次の方へバトンタッチ――という状況が繰り返されてきたように思っていて。そこで、まずは自分なりに発信すれば、うきはの政治ではマイノリティ、少数派になりがちな女性や子育て世代の皆さんも「声に出していいんだ!」と思って下さるかもしれない、そういう空気感を作っていきたいと考え、市議選へチャレンジすることにしました。
私の場合は移住者ですから、うきは育ちの方々とは「異なる価値観」なのかもしれません。けれども、今は大勢の方が市外から移住しておられますし、違う背景を持つ方も多いと思います。1人ひとりがお互いを認め合って、尊重しながら交流が生まれるまち、多様性を担保してあげられるまちに成熟していけば、「みんなにとって暮らしやすいまち」にしていけるのではないかなと。こうしたことを、皆さんと一緒にゆるゆると話をしてアイデアを出しあって、それを市政へ届けていければ・・・と思っています。
当市だけでなく、福岡県では現在に至るまで女性議員が少ない傾向にあるように思います。何が原因だと思われますか?
政治自体には課題意識を持ちながらも「議員を目指そう!」と思う女性がなかなかいらっしゃらないのは、1つには「家族からの理解を得にくい」という点があるかもしれません。データから読み解くと、昭和そして平成と、家事や育児、保育所行事・学校行事・地域行事は妻が多くを引き受ける・・・といったご家庭が多いのですが、九州は全国平均よりその傾向が強いようです。おそらく、当時は出馬しようとする女性がいらっしゃったとしても、その多忙な中で「家庭と両立出来るのか?」とご家族から応援していただく機会がなかなか得られなかったのではないでしょうか。
我が家の場合、相談したところ夫は最初から応援してくれたのですが、同居する義母からはなかなか・・・。「子どもたちが育ち上がってから立候補すればいいじゃない」と。でも、「そのタイミングでは遅い」と思ったのです。子育て施策について、ご相談いただいた課題に対してすぐに共感できるのはやはり私自身が当事者だからだと思いますし、「我がごと」だからこそ、熱を持ってお伝えしようと思えるのかなと。ですから、最後は義母が折れてくれた形です。ありがたいことだと思います。
とにかく、いきなり「議員のロールモデルを増やそう!」は難しいかもしれません。ですから、例えばPTA会長、そして行政区長、自治協議会会長などのポジションに「女性が就くことも当たり前」という状況になれば、そこから徐々に認知が広がっていくかもしれないなと思います。
もう1つ考えられる原因は、やはり「応援していただける方々がいらっしゃるのか?選挙資金が準備出来るのか?」というこわさでしょうか。私の場合は、私自身の知人・友達に加え、家族の知人・友達からも一生懸命に応援していただきました。選挙資金については、女性の場合は育児等でお仕事のキャリアが分断するケースが多いので、男性よりもハードルが高いという傾向はあるかもしれません。ですから、私も選挙について勉強するまで知らなかったのですが、供託金をおさめること、選挙カーやポスター作成等が公費負担の対象となること、一定割合の得票数になれば、供託金は返還されることなどが広く認知されるといいなぁと思います。
髙木さんは29歳の頃に夫の故郷であるうきは市に移住され、2児の子育てをされながら、様々なご経験を経て、ついには政治の世界へ足を踏み入れられました。個人的なことは政治的なこと。男女共同参画意識につながる考え方なのではないでしょか。私たちの元上司あきこさんの、今後の益々のご活躍を期待しております。