市内で活躍するロールモデルの紹介
「ロールモデル」とは、自分にとって、具体的な行動や考え方の模範となる人物のことです。
人は誰でも無意識のうちに「あの人のようになりたい」というロールモデルを選び、その影響を受けながら成長するといわれます。
うきは市内で活躍するロールモデルを紹介します。
認定農業者として活躍する!!

うきは市は農業が盛んな地域です。そして農業を担っているのは大半が女性ですが、うきは市の認定農業者263名のうち女性は17名です。
数少ない女性認定農業者のおひとりである樋口美智子さんに、お話を伺いしました。
美智子さんのプロフィール
浮羽町の農家の二人姉妹の長女として生まれましたが、農業を全く経験することなく、26歳で結婚し春日市に移り住みました。しかし、子どもの頃から姉妹のどちらかが家を継いで農業を続けるように言われていたため、妹さんがご長男と結婚されたことにより、一家で浮羽町に帰り、夫は資格を取って自営業となり、美智子さんが農業を継ぐことになりました。
40歳半ば、お父さんからの経営移譲で、ブドウと梨各60アールの果樹栽培の経営者となりました。そして、旧浮羽町の認定農業者となり、ご両親と美智子さんの家族協定を結びました。
50代の頃、お父さんが亡くなり、5年前から、息子さんも経営に参加し共同申請をしています。
農業の傍ら、福岡県女性農村アドバイザー、農業委員を歴任、平成24年に福岡県女性海外研修事業「女性研修の翼」に参加され、現在、うきは市農村女性協議会や福岡県認定農業連絡協議会、うきは翼の会のメンバーとして、多方面で活躍されておられます。
全く農業の経験のないところからのスタートで、農業経営を20年以上も続けられたコツはなんですか?
父が亡くなった後は、母と共に本当に苦労しましたが、今となれば良い思い出です。
続けられた要因の一つは、女性認定農業者になったことで農業経営者としての覚悟が備わったこと。二つ目は、うきは市農村女性協議会や福岡県認定農業者連絡協議会女性部に参加、研修や多くの人と交流することで、外の世界を見ることが出来たことです。
農業委員として印象に残ったことは何ですか?
2014年の九州北部豪雨災害です。農業委員全員で被災現場を見て廻りました。うきは市の被害は甚大で、その実態を目の当たりにして自然災害の怖さを実感しました。それと、農地の現地確認に行った折、「女性の農業委員さんですか?」と少し驚いたように聞かれた時、「私は認定農業者です」と明快に言えた自分に驚きました。

「女性研修の翼」に参加されて、感じたことやご自身が変わられたと思うことは?
パリのマルシェで見た女性農業者は、自信にあふれ、客の接待、オーガニックのマークからも、女性の感覚のすばらしさを感じました。女性農業者として誇りを持って安心・安全で健康な農産物を育て、女性の地位向上に努め、仕事を持つ地域の女性の社会参加への一歩を応援していきたいと思いました。
研修に参加後は、報告会等がありました。それは、自分の考えや意見を自分の言葉で述べるという、今まで経験したことのない大変なことでした。いまだに人前で話すことには慣れませんが、女性が意思決定の場に参画していくにはとても大切なスキルと思います。

これからやってみたいことや伝えたいことはありますか?
新規農地40アールに新しい品種を色々植えており、成長をとても楽しみにしています。
また、出荷できないブドウ・梨で加工品を作りたいと思います。今のところ収穫の時期は忙しく、加工までは手が回らない状況ですが、いつかは取り組みたいです。
農業経営については、まだまだ男性中心ですが、農業経営に携わる女性の認定農業者が増えていって欲しいと思っています。
美智子さんは、家を継がなければと言う思いから、農業を始められましたが、きっとご両親は、農業の楽しさをいつも話されていたのだろうと思います。
最近、息子さんの妻も仕事を辞め、農業を始められたそうです。美智子さん自身も、子どもさん達に農業の楽しさを話されていたことで、息子さんもご夫妻で後継者になろうと思われたのでしょう。農業のことをとても楽しそうに語られる美智子さんの笑顔に、たくさんの元気をもらいました。
(令和4年3月取材 男女共同参画センター)